念珠の歴史

念誦と念珠

珠の歴史は古く、お釈迦様がお生まれになる以前からあったとされています。

今から3500年以上前にできたバラモン教の聖典に登場してくる毘沙門天、弁財天、梵天は、持ち物として連珠というものを持っていて、それが念珠の原型とされています。

念珠が仏教で使われたのはそう古くはないとも言われていますが、
「木@子経」には次のような話がでています。

お釈迦様が霊鷲山(りょうじゅせん)におられたときインド辺境の地にあったハルリ国の王が使いをたててお釈迦様にご相談申し上げました。
「わが国は、貧弱であり、賊が侵入しては国中を荒らし、国内には疫病が流行しています。お釈迦様の力でなんとかしていただけないでしょうか?」

お釈迦様は、次のように答えられました。

「木@樹の実108個を通して環をつくrこれを常に身からはなさず、真心からみほとけの御名を唱えなさい。これを百回、千回繰り返し、20万辺に満つるときは、心身に乱れがなくなり、人々の心も安楽になり国家も安泰になるであろう。」

「さらに百万遍に至るときには、百八の煩悩業苦も断ち切ることができるでしょう」

このことを聞いたハルリ王は、木@子の念珠をつくり皆に分かち与え、共に念誦したところ、ひとびとに幸福が満ちたといいます。

日本への伝来


念珠の日本への伝来は、百済からの仏教の伝来(552年)とほぼ同じころと思われます。

文献にはじめて見られるのは、天平19年(743年)の法隆寺の資材帳に見られます。
当時は船載品として非常に貴重なもので僧侶の間でもごく一部の者しか使用されていなかったようです。

このころの遺品が、今、御物として正倉院にいくつか納められていることや、天平勝宝8年(756年)、聖武天皇による東大寺献物帳の
一部に、念珠が「国家の珍宝」として献納されていることからもわかります。

そのときの記録によると材質は、金、銀、瑪瑙、琥珀、水晶、真珠、など貴金属、宝石類でつくられており、まさに貴重品であったことが
伺えます。

各宗派の念珠の勃興期

平安末期から鎌倉時代にかけて、いわゆる鎌倉新仏教が展開され、広く民衆にまで浸透し、念珠の需要もしだいにましました。

各宗派ごとに使いやすいように改良され、現在各宗派で用いられている念珠の多くはこのころに形式が作られました。
江戸時代に入ると、幕府の政策もあって仏教は栄え、念珠の需要も急増しました。

一般売買の普及期

元禄年間(1688〜1704年)には、一般の売買がはじめて公許されたり、念珠の解説書も現れました。

片手念珠の普及

禅僧の間にわずかに使用されていた片手念珠が普及するようになったのもこのころです。


宗派ごとの念珠

天台宗 

天台宗で用いられているものは多くは、平玉です。

真言宗

真言宗の念珠は、弘法大師が唐から帰国のとき師の恵果阿闍梨に授けられといわれるものが基本形とされ、その形から振分け念珠とも呼ばれています。

また、この念珠は広く普及し、真言以外の宗派でも使われていて、八宗とも言われています。
寺院用として54玉で造られた、半繰り念珠もあります。
在家用は、形がやや小型になり、房は菊房を用いるのが一般的である。

浄土宗

浄土宗とここからでた時宗は、多く輪違いの念珠が用いられています。
これは、法然上人の門人、阿波之助が考案したといわれています。

のちに、称念が現在のように改作したものといわれ、2つの輪違いのものに丸環がつけられていて、一般に日課数珠と呼ばれていて、日課念仏に用いる、繰り念珠です。
この日課数珠には、108個の数珠10連を合わせて1080個の大きさにしたものもあり、百萬遍大数珠といわれています。
装束念珠は、基本形がやや異なっていて、在家用としては、片手念珠が現在多く用いられています。

浄土真宗

真宗の念珠は、中興の祖、蓮如(れんにょ)上人の考案になるもので、基本形は浄土宗と同じですが、裏房の結び方がこの宗派独特のもので「蓮如結び」といわれています。

形式は同じであるが、「兼朝用」・「布教用」といわれる特殊なものもあります。
在家用のものも、基本は同じですが、簡略されて、寸法で決められていて、玉の数には制限がないのが特徴です。
この他、一般的な片手念珠も用いられています。

日蓮宗

日蓮宗の念珠は、宗祖日蓮上人以来、華厳宗などの南都六宗で用いられている古い形式のものを使用していましたが、室町末期頃より現在の形のものも用いられるようになったといわれています。

 以後、広く日蓮宗各派に用いられる基本形となり、顕本法華宗、仏立宗、などの各派、祈祷用の各種のものなど、房の組み方の違いがみられるぐらいです。

 在家用のものも基本はすべて同じです。

禅宗
 













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