六国五味
(りっこくごみ)

香道の対象とする香は香木=沈香です。
沈香の香りの微細な違いを鑑賞するのが香道の極みとされています。

香木の分類や鑑賞の基本となる「六国五味」の六国は、
木所つまり、品質によって香木を分類するものです。
伽羅・羅国・真那加・真南蛮・寸聞多羅・佐曽羅

五味は、味によって香りの相違を知るものです。
辛(カライ)・甘(アマイ)・酸(スッパイ)・苦(ニガイ)・鹹(シオカライ)

ひとつの香木でも、必ずしも一味とはことはありません。。
いくつもの味を兼ねるものが多く、五味の強弱やくみあわせにより、
えともいわれぬ香りをかもし出します。

香に親しむ為には、それぞれの香りの特徴を覚えます。
その方法としては、伽羅なら伽羅を何度もたいて、香りに親しませる即物教授法、
また、味感覚によって辛・甘・酸・苦・鹹(カン=しおからい)に分ける五味説などがあります。
五味説が現れた17世紀には、この6種の木所の特徴が次のように説明されています。

  
伽羅
(キャラ)
其(その)さまやさしく位ありて、苦味を立るを上品とす。
自然とたおやかにして、また、辛味あり。
酸味・鹹味も有。
其一は苦をたつるをいう。また優美なる事、譬(たとわ)ば宮人の如し
羅国
(ラコク)
前後に自然と酸味をつかさどる。伽羅にまがうなり。
しかれども、位うすうすとして賎しきなり。
其さま武家の衣冠を粧いたる風情と知るべし
真那加
(マナカ)
匂いかろく艶なり。
其香のうするを上品とす。香に僻有。仮令ば女のうち恨みたがる如し
真南蛮
(マナバン)
甘えおたつるもの多し。
銀葉に油つくこと真南蛮のしるしとす。然れども外にあり。
寸聞多羅
(スモタラ)
上品にいたりてしぜんと匂いすることなり。
仮令ば白檀のごとき匂いあり。おおかた是も苦味を立る。
其さま商人のよき衣著たるが如し
佐曽羅
(サソラ)
匂い冷ややかにして酸味あり。
上品は焚出しに、伽羅まがう聞あり。
しかれども自然と軽くして、余香に潜れり。其さま僧のごとし。


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